こんにちは、焼肉プランナーです。
私たち日本人にとって、輸入牛と言えば、アメリカ産やオーストラリア産を始め、カナダ産やブラジル産、ニュージーランド産などが挙げられますが、イギリス、フランス、ドイツと言った、ヨーロッパ産の牛肉を見かけることは少ないと思います。
しかし実はEU全体で見ると牛肉の生産量は、アメリカとブラジルに次いで世界第3位。
ではなぜ、そんな牛肉大国であるヨーロッパのお肉を日本で見かけることが出来ないのでしょうか。
その理由は、ヨーロッパ連合EUの独自の取り組みや、過去にあったBSE問題、和牛を食べなれた日本人ならではの感覚が起因しています。
本記事では、ヨーロッパ産牛肉の特徴と、国内であまり見かけることが出来ない理由について、お肉に携わって12年の焼肉プランナーがわかりやすく解説しています。
EU圏内の牛肉自給率
まず一つ目に上げられる要因として、そもそもEUは牛肉を輸出する量が少ないということ。
牛肉の最大生産国であるアメリカは、肉牛の肥育を促進する目的のためにホルモン剤(エストロゲン)を注入していることが多いのですが、そのホルモン剤は、発がん性の恐れがあるという健康上の問題から、EUはアメリカからの牛肉の輸入を厳しく制限しています。
そのため、自ずと輸入量が少ないために、自国やEU内での需給に頼らざるを得ない状況に至っております。
また、EU圏内の牛肉の多くは、肉用種ではなく、乳用種が多い点も大きく起因しています。
チーズなどは、フレンチやイタリアンでも多く使われているイメージがありますよね。
乳用種を肥育する過程では、もちろんオスが産まれることや、牛乳を搾取出来なくなる年齢を超えた牛も存在するわけで、そういった使い道のなくなった乳用種を、肉牛として有効的に利用することにEUは力を入れているため、加盟国内でなんとか消費しようと精一杯。
そして、前述した輸入制限の他、生産者への支援などといった政策の効果もあり、EU内での牛肉自給率は95%と、輸出に回るのはたったの5%です。さらにその多くは近隣地域である中東などへの輸出がほとんどであるため、日本国内に回ってくる牛肉はかなり少ないのが現状。
持続可能な開発目標を掲げるSDGsを牽引しているのはEUということもあり、上記のような取り組みは、他国よりも意識が高い現れであるとも考えられますね。
ヨーロッパと日本 牛肉の肉質の違い
次の理由として、ヨーロッパの牛肉は特徴的な肉質によることも挙げられます。
アメリカがホルモン剤などで成長を早めて肥育していることや、日本の和牛のように穀物を中心としたエサで、かつ、牛舎の中で運動を制限して育てる(グレインフェッド)のに対し、
ヨーロッパではグラスフェッドと呼ばれる、牛が本来食べるはずの草類を中心としたエサで、広い大地での放牧形式で、健康的に育てることが多いです。
出来る限り、牛にストレスを与えずに育てられ、高たんぱくな肉質に仕上がり、ヨーロッパの人たちはこのような肉質を好んで食べているそう。
しかしながら、多くの日本の方々には、やはり和牛のように柔らかくてジューシーな肉質が好まれるため、輸送費もかかって価格も抑えづらいヨーロッパ産のお肉は、売り手にとってメリットが少ないと言えます。
また、2000年にイギリスで発生したBSE問題の影響により、日本への輸入が解禁されたのは2013年と最近であるため、仕入れルートが確立していないことも、日本市場への参入が活性化されていない原因の一つです。
つまり、アメリカ産やオーストラリア産よりも高くて、日本人好みの肉質でない以上、積極的に仕入れられないということ。
しかしながら、最近では健康志向も高まり、ホルモン剤未使用の牛や、グラスフェッド牛が再注目されていることは事実。
牛にも人にも、最も健康的なお肉こそヨーロッパ産牛肉であるため、今後世間がグレインフェッドを控えるムーヴメントが加速すれば、供給量が増える可能性は秘めていると言えます。
日本が輸入しているフランスの牛肉
数少ないヨーロッパ産牛肉ですが、フランス産のある牛肉が高級食材として日本にも輸入されています。
それがヴィールと呼ばれる子牛肉です。
少し心が痛みますが、子牛肉とは生後20週以下の若い牛肉で、鉄分含有量が少ない、ピンク色で淡白な柔らかい肉質が特徴。
フランス産の子牛肉は、主要なアメリカ産やオーストラリア産の牛肉よりも、約3~4倍ほどの価格で輸入されていて、日本国内では和牛よりも高価であるため、格式の高いホテルディナーや、高級フレンチの場で提供されています。
私も食べたことはありませんが、みなさんが高級なディナーで、メニュー表に子牛肉を見かけた際には、是非とも一度味わってみてはいかがでしょう。
ちなみに、日本の誇る和牛は、ヨーロッパでは最高級の位置づけであり、アメリカ産やオーストラリア産の3倍ほどの価格であるため、日本での子牛肉と、ヨーロッパでの和牛は、お互いに称え合える関係であるため、自信を無くす必要はありません!
ヨーロッパ産牛肉が少ない まとめ
では、ヨーロッパ産の牛肉が少ない理由をまとめます。
- そもそもEU圏内での消費率が高く、輸出数が少ない。
- 輸送費を含めたコストで価格が高い割に、日本人好みの肉質ではない
- 解禁されたのが2013年であるため、仕入れルートが少ない
以上です。
この他に、アメリカ産の牛肉や、国産牛と和牛の違いなどの記事も参考になると思いますので、是非見て行って下さい。
焼肉プランナーでした!
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