こんにちは!焼肉プランナーです。
字面から見て、明らかに美味しくなさそうな交雑牛ですが、
それだけで交雑牛が美味しくないと決めつけるのはもったいないです!
- 交雑牛(F1)って何?
- 国産の方が安心する。
- なぜ交雑牛が流行っているのか?
そんなあなたへ、少しでも交雑牛について理解を深められるよう解説いたします。
F1(交雑牛)とは?何の略?
まず最初にみんなが言いたくなる冗談を噛ましますが、
世界最速の自動車レースであるF1(フォーミュラワン)ではありません。笑
交雑牛の略称F1とは、
First filial generation(最初の子世代)から由来しており、
和牛種と、それ以外の乳牛などの交配から生まれた、最初の牛のことを交雑牛(F1)と呼びます。
F1と更に交配を行うとF2となりますが、肉質が著しく低下してしまうため、美味しく召し上がれるのはF1までなのが現状。
また、一般的には、
オスの黒毛和牛種と、メスのホルスタイン種を掛け合わせることが多く、その理由としては主に2つあります。
1つ目の理由としては、
肉質は良いが体格の小さい黒毛和牛と、肉質は悪いが体格の大きいホルスタインの相性が良いためです。
黒毛和牛は、体格が小さいことに加え、発育スピードも遅く、出荷までに膨大な人件費やエサ代などが必要となるため、交雑牛よりも1.5倍ほどの値段で取引されます。
しかしホルスタインの血を混ぜることで、体格が大きくなる(1頭からたくさんの肉が取れる)ことに加え、発育スピードも早くなり、更には双方のDNAを持つことで、病気に対しての抵抗力が高くなると言うメリットもあります。
肥育の難しい黒毛和牛は畜産農家の特権と言えましたが、交雑牛は酪農家の方でも育てることが出来る例もあり、結果的に供給量が増え、和牛よりも安価に消費者の元へ届くわけです。
オスの黒毛和牛とメスのホルスタインを掛け合わせる
2つ目の理由は、出産のリスクを軽減するためです。
体格の小さい和牛は、本来よりも大きな子を産むのはリスクを伴うため、体格の大きいメスのホルスタインに対して、オスの和牛を交配させる方が安産を期待できます。
以上のことから、多くの交雑牛は、オスの黒毛和牛×メスのホルスタインの組み合わせとなっております。
中には、黒毛和牛×短角和牛という、和牛間での交雑種もあるそうですが、こちらは和牛よりも高価になってしまうため、非常に稀なケースと言えますね。
ちなみに、「交雑牛 危険」という検索ワードを見かけますが、全く危険ではありません!
和牛と国産牛の交配で生まれたってだけで、危険性を上げるとするならば、国産牛より脂肪分が多いので太りやすい。ってぐらいです。
交雑牛 流行の理由
交雑牛の起源は、1854年(江戸時代)に鎖国が終了して以降、明治時代頃から、和牛種と外来種の交配が行われてきましたが、国内市場に普及し始めたのは、牛肉輸入の自由化が行われた1991年以降。
そして、2001年にBSE(狂牛病と呼ばれる牛の疫病)が、食の安全を脅かして以降、一気に輸入牛に対しての不安が世間一般に広まったことをきっかけに、国産と表記できる交雑牛は業界でも注目を浴び始めました。
2002年には、高価な黒毛和牛のシェアを完全に上回り、交雑牛の存在は一般的になりましたが、当時の肥育技術では、黒毛和牛には到底及ばない肉質であったため、交雑牛は美味しくないという評判も同時に露呈してしまいました。
しかし、肥育技術の向上と、2015年頃からの赤身ブームと呼ばれる、ヘルシーかつ柔らかいお肉が求められるような時代の到来により、交雑牛は再度注目を浴びることとなります。
美しい霜降りが中心である和牛においては、赤身である部分は逆に希少であり、ランプやイチボといった赤身で有名な部位は、サーロインや三角バラといった霜降り肉と販売価格が接近してきているほど。
そのような中で、和牛ほど霜降りとならず、輸入牛ほどパサつくことのない交雑牛は、その丁度良い味わい、価格帯、国産…といったステータスから、多くの飲食店、精肉店で取り扱われてきています。
更に、2020年以降は
- コロナショック
- ロシア×ウクライナ情勢
- アメリカと日本の金融政策の違いによる円安
これらの影響により、輸入牛の価格は高騰をし続け、交雑牛の需要はより加速しているのですね。
注意しなければならないのは、多くの焼肉店やスーパーで「和牛」ではなく「国産」として表記されているお肉のほどんどが交雑牛かというと、そうではないという事実。
乳牛として肥育されているホルスタイン種ですが、もちろん搾乳できるのは若いメスのみとなるため、ホルスタインのオスや、搾乳出来なくなったメスは食用として屠畜されるため、こちらは和牛の血統が入っていないながらも「国産牛」に変わりありませんし、更に述べると、最初から肉用種として育てられたアメリカ産のプライムグレードほうが肉質は良いです。
和牛と言えば、柔らかくてジューシーなのはほぼ確実、
輸入と言えば、そこそこのクオリティであるのも想像は容易、
それに対して「国産」というのは、ホルスタインや交雑牛といったように幅が広いため、これを見極める必要があるということ。
「国産」というだけの表記に惑わされず、しっかりとホルスなのか交雑なのか、パッケージをよく見て購入するようにして頂ければと思います。
交雑牛は美味しいのか?
重要なのは、その交雑牛のクオリティはいかに?!という所ですよね。
これまでの解説からわかる通り、
価格や肉質の序列は、
和牛>交雑牛>国産牛(ホルス)≒アメリカ産プライム>その他輸入牛
となるわけですが、では
比較的よく育たなかった和牛と、比較的よく育った交雑牛だったら、どちらが美味しいのかという疑問を抱く方もいると思います。
こういった曖昧な違いを見える化してくれている基準が、B4やA5といった牛肉格付け等級という規格ですね。
品種や産地が違っても、肉と脂のサシや、肉の締まり、脂の質(色)など、クオリティの差を統一できるよう判断してくれています。
専門の方や、肉ツウからすると、それでも同じA4やB5でも全然違う!と言えばそれはそうなのですが、ある程度の肉質かは絞ることが出来、国産牛に必ず表記される「個体識別番号」を検索すれば、等級を調べることも出来ますので、是非活用されてみては如何かなと思います。
交雑牛とは まとめ
それでは、まとめです。
- 交雑牛とは、黒毛和牛(肉用種)×ホルスタイン(乳用種)を交配した国産牛が一般的
- 和牛よりも大きく、育つのも早いため、コストパフォーマンスに優れる
- 和牛>交雑牛(F1)>国産牛(ホルス)≒アメリカ産プライム>その他輸入牛、といった序列となるため、比較的良いお肉と判断できる。
最高の牛肉として位置する和牛にも、多くの種類があるため、以下記事も参考にどうぞ!
以上です!焼肉プランナーでした。
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