飲食店や小売店では、定期的に部下やアルバイトとの面談を設けている会社もありますが、
正しい面談の方法や手順やコツ、注意点などまで教えられたことは意外と無いのではないでしょうか。
自分の性格的に、苦手、照れくさい、気まずいなどの気持ちや、
仕込みも営業も忙しくて時間が無いなど、面談そのものに辿り着くまでに悩みを抱える方も多いと思いますが、承知の上で申し上げます。
結論、この人員不足の時代に、アルバイトとの面談は必須です。
また、人事異動などで新しい店舗に赴任した時なども、面談は有効的に機能します。
本記事では、面談の目的と手順や、意外とやってしまいがちな失敗などを解説し、みなさんの店舗運営を手助けできる情報をお届けします。
こんなあなたに役立つ内容です。
- 面談を効果的かつ、効率的に行いたい
- 面談に苦手意識がある
- 部下やアルバイトの離職率を下げたい
記事内では、簡単に使える面談シートも、無料でダウンロード出来るようになっていますので、ぜひ次回の面談時に活用して下さい。
面談の目的
まず初めに、何のために面談をするのかを理解しておきましょう。
お店の結果を良くするためというと、それは正しいのですが、少し抽象的で何をすればいいかわかりませんよね。
具体的には、アルバイトへ働くことに対しての適度な緊張を与えつつ、離脱率を防ぐためです。
もう少し踏み込むと、店長の方針や理想とする店舗運営と、アルバイトの意見や行動が合致しているかのすり合わせですね。
アルバイトが日々の業務に慣れていくと、新人の頃に抱いていた緊張感などが薄れていくのは当然。
上手くコントロール出来れば、それが良い結果をもたらすこともあるのですが、アルバイトが仕事の楽しみ方を履き違えて、ただの交流の場になってしまうと、店長の方針や会社のルールは、アルバイトにとって余計な障害と化してしまいます。
これはアルバイトの質が悪かったのではなく、そうしてしまった店長の責任であり、私もそんなアルバイトを育ててしまったこともあります。
上記のような良からぬ方向に傾く前に、改めて、店長や会社が与える義務の対価でアルバイトが成り立っていることを認識させるために面談を行うのです。
逆に、真面目に仕事は続けてくれているのですが、緊張状態が続き過ぎて、不満や悩みを打ち明けることや、お店を良くするための意見さえ言えないアルバイトも存在します。
そんな真面目なアルバイトは、自分には合わない組織だと自己消化した場合、それとなく誰の迷惑にもならないような理由(学校が忙しくなって…など)を告げて辞める可能性があるため、面談を通じて、自己開示しやすい組織であることを示すのです。
ただ不満や愚痴を聞くだけでなく、良い提案、正しい意見はちゃんとお店に反映できるよう努め、相手の課題があれば、それも丁寧にお伝えしましょう。
面談でやってはいけないこと
アルバイト面談の手順の基本となる形はあっても、人それぞれのやり方があり、正解は一つではありません。
ただし、やってはいけないことは共通しますので、以下に記載致します。
1.無給
2.立ち話
3.いきなりやる
4.自分の話からスタートする
5.情報が筒抜け
6.メモを取らない
7.雑談だけ
順に解説して行きます。
1.無給
店長や責任者であるあなたは、もちろん業務の一環として面談をしていますよね?
それは、面談相手であるアルバイトも同じであり、業務である以上、時給をつけないのは違法です。
上手く言いくるめたとしても、少しでも心の片隅で「この時間って…?」と思われてしまうと、信頼しきることが出来ず、アルバイトは本音で話せないどころか、早く面談が終わって欲しいとさえ思います。
逆に時給を付ければ、ダラダラと雑談や愚痴だけが長く続いた際に「時給もついてるので、次の話に行きましょうか」と切り上げることも出来ます。
2.立ち話
座って話すことは脳が安定した状態になり、思考力や集中力が増すと、脳科学的にも証明されています。
立ち話ではなく、バックヤードや目立たない客席などで座って話し、より良い意見交換を行いましょう。
3.いきなりやる
「今ちょっと面談いいですか?」では、相手は何の準備も出来ておらず、担当者の一方的意見で終わってしまいます。
もちろん私も面談をして頂いた経験がありますが、正直コレはずるいです。
いつ頃から各自やっていきます程度の告知は、最低限しておきましょう。
4.店長のターンからスタートする
これはよくあるので注意。
相手の意見を聞く前に、こちらから「あなたの課題はここですね」と先行するパターンです。
たとえ優しく伝えたとしても、先に言われてしまうと、アルバイトはその後意見しにくくなります。
アルバイトから不満を言われて、店長の方針を否定されたり、傷つきたくない気持ちはわかりますが、勇気を持って、相手のターンからスタートしましょう。
5.情報が筒抜け
人間関係の悩みを相談された際、相談した本人が最も恐れているのは、自分が告げ口したと特定されてしまうこと。
だったら面談で言わなければ良かったと思われてしまうので、内密に進めてください。
「その事実は知らなかった。俺から言っておくけど、どうやって伝えればいいかな。」など、相談者を守れる方法を一緒に考えることで、信頼が生まれます。
6.メモを取らない
10人以上の意見を、定期的な面談の1回で把握できるわけがありません。
手書きでもパソコンでも、記録をしている姿勢が見えないと、その場だけのガス抜きでやっているとアルバイトも察します。
一言一句全てを記録する必要はありませんので、要点を書面またはパソコンなどでメモをしながら面談を行いましょう。
7.雑談だけ
面談の目的がわかっていない人が陥ってしまう、よくある失敗。
雑談は、アルバイトは気持ちを発散出来ていいかもしれませんが、生産性が無いため会社が損をします。
面談の手順を全て終えた後の、クロージングで雑談を行うことで、面談に対して良い印象を持って終わることが出来ます。
使い方を間違えないようにしましょう。
以上の、面談でやってはいけないことを理解した上で、手順解説に移ります。
面談の手順
まずは面談開始までの全体準備を行い、あとは「型」に沿って個々に面談を実施して行きます。
面談に「型」が無いと、何から何を話せばいいかわからず、また、どのぐらいの時間がかかるかもわかりづらくなり、面談を行うのが億劫に思えてしまいます。
個々の面談をスムーズに進めて行くためにも、ある程度の型は持っておきましょう。
型には個人差があってもいいと思いますが、ここでは最低限の基本的な形で解説いたします。
以下が全体像です。
【準備】
➀リストを作る(名簿とメモ欄)
②事前にアナウンス
【型】
③相手の話を聞く
④相手の話に対して返答をする
⑤自分が伝えたいことを伝える
⑥内容を総括し、お互いに確認する
一つずつ解説いたしますね。
➀リストを作る
面倒かもしれませんが、まずは準備からです。
リストがあるだけで、誰と面談して誰がまだなのか、話の順番も見える化でき、効率的かつ記録に残るメリットがあるので、簡単なものでいいので作っておきましょう。
名前/相手の意見/店長の意見/その他内容/などがオーソドックスな形であると思いますが、いまいちピンと来ない方もいらっしゃると思いますので、以下のファイルを参考にして頂けたらと思います。
もちろん、そのままダウンロードして頂けますので、手間を省きたい方はそのまま使うか、自分なりに編集して下さい。
2ページ目のシートは、私が個人的に使いやすいように改変していたものですので、編集例として参考程度に見て頂ければと思います。
②事前にアナウンス
いきなり面談をやるのはNGと申し上げたように、アルバイトの準備期間は必要。
さすがに資料やデータを用意してきたアルバイトは今までいませんでしたが、気持ちの準備が出来るだけで、意見の質と量が上がります。
日時を決めれたらいいですが、飲食店では店長の空いている時間と、バイトの空いている時間が合わずに、予定通り進まないこともありますので「この日からいつまでに順次やって行きます」程度でもOK。
「準備させたら面倒くさいこと言われそうじゃん」と思う気持ちも十分に理解出来ます。
しかし、それを聞いてこそ、信頼される店長への第一歩です。
貼り紙でもLINEでも良いので、事前アナウンスは必須です。
③相手の意見を聞く
基本的には相手のターンからスタートです。
自分や会社の方針、目標から話すと、相手の話したい内容によっては言いづらくなることもあります。
例えば、自分が「みんなの出勤率を上げたいと思っているんだよね」と先に伝えれば、相手が本来打ち明けようと思っていた「課題が多くてシフト減らしたい」という事情は、もちろん伝えられません。
逆であれば、相手の事情を聴いた上で、「そのスケジュールであれば、日曜日のお昼だけでも入れそうかな?」など交渉が可能。
言いづらくて黙ってシフトを減らされるより、お店側は立ち回りやすいため、必ず相手の話から聞きましょう。
また、相手の話から聞くと言っても、「最近どう?」ではなかなか話が始まらないため、学業や進路の状況などから聞いてもいいと思います。
そうすると、最近課題が多くてシフトが…みたいな切り出しがあると思います。
仕事でもプライベートでも、相手が困っていることを聞き、意見を引き出しましょう。
例外として、相手が何を話せばいいかわかっていない場合や、本当に何も考えてない場合もあります。
その場合は、自分から話を切り出し、キャッチボールをして行く中で、意見を見つけて行きましょう。
④相手の意見への対応。自分が出来ることや行動を伝える。
相手の意見を聞くだけで終わっては効果が薄いため、それに対して、自分が思うことや出来ることを提案してあげましょう。
例えば、シフトに入れないことで悩んでいる場合は、
「君はホールもキッチンも出来るから、木曜日の不足しているキッチン枠に入れてみようか?」など。相手の困っていることに対して、自分が出来ることを提案します。
また、中には自分の権限では実現させるのが難しい意見や希望もあります。
例えば「交通費を支給してほしい」など。
その場合でも、自分に出来ることは何かしらあるはず。
「今度の会議で打診してみるわ。ただ、出来ない可能性も高いから約束はできない。」など、難しいことでも、協力姿勢や行動予定を伝えることで、信頼度は増します。
話しても無駄だと思われないよう注意しましょう。
⑤自分が伝えたいことを伝える
ここで自分のターンが来ます。
会社内の方針や課題、自分の理想や、相手への要望を伝えます。
このターンで重要なのは、相手に働くことへの適度な緊張感を再認識させること。
例えば、「お客様からのクレームが増加していて会社全体で注意喚起されています。君は少し接客対応が冷たいので改善してほしいです。」など。
相手の意見のターンでしっかりと対応していれば、後から出すこちらの要望も素直に受けて入れてくれやすいです。
時には厳しいことを言わないといけないこともありますが、感情的にはならず、相手が理解してくれるよう努力して下さい。
⑥内容を総括し、相互確認をする。
書面やPCで記録します。
書く速度やタイピングが間に合うのであれば、面談と並行して行うのが理想的。
最後に、準備したリストのメモを見返して、お互いに意見をすり合わせてクロージングとなります。
「他、何もないですか?」なども聞き、伝え漏れないよう心がけましょう。
以上が、大まかな面談の流れとなりますが、会社への報告義務があるならば、相手の機密事項には注意して報告してあげる気遣いも大事。
例えば、会社への報告の際には「〇〇君への不満」などは「特定のスタッフへの不満」など、やや抽象的な表現に変えるなど。
今回は、面談の手順やコツなどに特化した記事であるため、面談後の流れは割愛しますが、本来であれば、お互いの進捗状況の確認やフィードバックを行い、言う聞くだけでなく、行動に移していくことが重要です。
面談は離職率を下げる
結論、上記のような一方的ではない丁寧な面談を行うことで、離職率が減ります。
なぜなら、信頼とは「自分のことをわかってくれている」という気持ちから溢れ出るものであり、人は安心できる組織を求める生き物であるから。
そんな店長や社員がいるお店が、残念ながら圧倒的に少ないのが飲食店の現状。
この人員不足の時代、働く先は無数にあるため、お店側は言うなれば、人の取り合いです。
もし辞めたいと迷ったとしても、正直に話してくれれば、内容によっては引き止められる方法を見つけることも出来ますし、逆を言えば、黙って辞められるお店から人員は不足して行くと言えます。
人が移って来るお店か、人が移って行くお店か、その大転換期がコロナ後の今とも言えます。
面談以外にも離職率を下げるコツはありますので、以下記事も参考にしてみてください。
ここまで読んでいる勉強熱心なあなたなら、希少価値のあるワンランク上の責任者になれるはず!
期待していますね!
アルバイト面談の手順とコツ まとめ
それでは、まとめです。
【面談のコツ】
- リスト作成で自分の準備、アナウンスで相手の準備を行う
- 相手の話、困っていることから聞く
- 自分の行動予定を示し、相手へ伝えるべきことを伝える
最初に述べた、面談でやってはいけないことも忘れないよう注意して下さいね。
あなたの店舗運営が上手くいくことを願っています。
焼肉プランナーでした!
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