こんにちは!お肉に携わって12年、焼肉プランナーです。
牛肉の高級部位には、牛肉の王様と称されるサーロイン、そして牛肉の女王と称されるヒレがありますが、その中でも最も高級な部位と言われているのが「シャトーブリアン」です。
しかしながら、ひと口にシャトーブリアンと言っても、それだけで最高級だと判断するには早すぎます。
なぜなら、産地やお店によって、定義や希少さ、味や価格も大きく違ってくるから。
シャトーブリアンを注文する前に、いくつか知っておくべきことがあるので、本記事にてご説明致します。
シャトーブリアンはヒレの一部
結論から申し上げると、シャトーブリアンは、ヒレの一部(真ん中)です。
ヒレは、サーロインと隣接する高級部位でありながら、味わいは正反対。
サーロインは、特に霜降りが鮮やかな部分で、甘くてとろけるような口当たりに対し、
ヒレは、赤身が中心であり、肉自体が柔らかくてヘルシーな味わいが特徴と言えます。
牛1頭から取れるヒレの量は約3kgであり、シャトーブリアンはその中心部の約500g程度を指しているため、非常に希少かつ、旨味が凝縮された最高級部位ということがわかりますね。
希少さだけなら、正直シャトーブリアン以上に取れる部分が少ない部位もありますが、ただ珍しいだけでなく、味も伴った正真正銘の高級部位であるため、その価値ゆえにスーパーはもちろん、焼肉屋でもなかなか手に入らず、その多くは精肉店やホテル、高級ステーキ店で取引されています。
しかしながら、同じシャトーブリアンでも、全てが最高級ではないということを知っておく必要があるのです。
その理由は、和牛と交雑牛、国産牛と輸入牛で、その味わいや価値は大きく変わるため。
例えば、サシの少ない傾向にある輸入牛のシャトーブリアンと、A5和牛のリブロースでは、後者の方が圧倒的に価値が高いのです。
つまり、シャトーブリアンという部位だけで判断する前に、まずその牛肉自体のランクを知った上でないと、本当に価値のある最高級なものかどうかは定かではないということ。
最高級のシャトーブリアンと言うのなら、
産地が日本、黒毛和牛種、未経産のメス、A5…これだけ揃うと文句なしのシャトーブリアンであると言えます。
これだけの条件を見定めるのは難しいと思うかもしれませんが、
神戸牛や松阪牛、米沢牛などは、上記条件のほとんどを兼ねていますので、それらのブランド牛のシャトーブリアンであれば、簡単に「間違いない」と判断できますね!
ちなみに、上記ブランド牛以外にも、飛騨牛や近江牛などがありますが、それらはA5ではない可能性もありますので、下記リンクも目利きをする上で知っておくといいと思います。
次項では、シャトーブリアンは、ヒレの真ん中というが、実際どこからどこまでなのか、衝撃の真実に迫ります。
シャトーブリアンに定義はない
通常、牛肉の部位は、筋や骨を境界線として切り分けていくのですが、上記のヒレの写真を見てわかるとおり、基準となるスジや骨、窪みや形の変化さえもありません。そう、青い線は、完全に私の感覚で引いたもの。
つまり、ヒレとシャトーブリアンには明確な境界線がありません。
つまり、目の前に置かれたヒレの中から500gをシャトーブリアンとするか、800gをシャトーブリアンとするかは、切り手がコントロール出来てしまうわけです。
お店のメニューでシャトーブリアンと書いてあっても、実際にはほぼヒレということもあり得ますし、それを特定する方法はありません。
本当に詳しい人なら、「松阪牛のシャトーブリアンの割に、なんか少し赤身が多いなぁ」などの違和感を抱けるかもしれませんが、それを指摘したところで、「いえ、うちはココをシャトーブリアンとしています」と返されたら、それが正義という衝撃の事実。
また、前項で述べている通り、アメリカ産などのシャトーブリアンを食べるくらいであれば、国産の普通のカルビやロースの方が高価かつ美味しいことが多いため、「国産」や「和牛」などの表記のないシャトーブリアンには注意も必要です。
国産や和牛のシャトーブリアンは、A3やB3程度のランクであっても、100gで4,000円以上が最低相場です。焼肉屋の一人前がだいたい100g前後であるため、もし一人前2,000円前後で売られていた場合は、あまりランクの高くない牛肉か、ヒレの端っこである可能性があると考えてもよいでしょう。
みなさんが人生に一度は
「最高級のシャトーブリアンを食べてみたい」
というのであれば、目の前でヒレのブロックから、シャトーブリアンを切る瞬間を見れる高級店に行くか、目の前で切ってはくれなくても、牛自体のクオリティが確保されているブランド牛などが、失敗しない選択肢であると言えますね。
ヒレ シャトーブリアン以外の部分
ちなみにですが、シャトーブリアン以外にも、ヒレは細分化され名前がつけられています。
焼肉屋で聞いたことはありませんが、フランス料理では、ヒレのうち牛の頭側の部分を「テート」といい、お尻側を「ミニヨン」と言います。(真ん中がシャトーブリアン)
私自身、ヒレは好んで食べることはありますが、テートとミニヨンを意識して食べ分けたことはないので、テートからミニヨンにかけて、徐々に脂が増えていくということしか知りません。
そしてもう一つ、覚えておいてほしいパーツが、ヒレの横に細長くついている「サイドストラップ」。
ヒレ横、ヒレミミ、ヒレヒモなどの名称で焼肉屋で出されていることもあり、多少スジが入っているため安価にはなりますが、味わいはヒレに近くお得です。
見かけた際は、是非食べてみてくださいね!
シャトーブリアン まとめ
では、まとめです!
- 希少部位であるヒレの一部であり、明確な境界線は無い
- 同じシャトーブリアンでも、牛のランク次第で価値は大きく違う
- 和牛-A5-メス の条件が揃ってこそ最高級のシャトーブリアン
以上です!
牛のランクについては、以下も参考にして下さい。
それでは、良い焼肉ライフを!焼肉プランナーでした!
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